【ご注意!!】
このお話は2nd第1話を見て「あの場面」だけでウッカリ浮かんだ妄想です。
雑誌やCDも聴いてないので公式の情報と違うかも知れませんw
『セルゲイとソーマが一緒に暮らす』
『ソーマが天涯孤独』
『セルゲイが奥さんと死別してる』
が前提です。
セルゲイ×ソーマほのぼの親子愛(それ以上?)
の妄想話OKな勇者のみ・・どうぞ(*^_^*)







このなるに    
・・・

〜ソーマ=ピーリス編〜



そろそろ夜の帳が深く降りたかという刻限。
旧人類革新連盟領の一角にある高級仕官住宅街。
セルゲイ=スミルノフ邸の周囲は静寂に包まれていた___




見慣れた台所に立ち、ようやく慣れた手つきでお茶の用意をしていると、
奥にある居間の方から話し声が聞こえて来た。

『・・・・・??』

耳を澄まして音を拾うように集中させると、この邸の主であるセルゲイの声がした。
どうやら誰かと電話中のようだ。
トレイにカップを二つとシュガーポットを載せ、居間へ向かう。


「・・・・・には秘密が多い。内情を報告して貰えると助かる。」
『無論、そのつもりです。・・では。』
「ああ。」

音を立てないよう気をつけながらカップをテーブルに置いていると
用件は終ったらしく、セルゲイは電話を切っていた。

微かに耳に届いた聞き覚えのある声は元AEUの軍人のもの。
こうして時々セルゲイと情報交換しているのをソーマは知っていた。

「マネキン大佐からですか?」
「ん?・・ああ、そうだ。」
「どのような用件で?」
「・・・・・・・。それより、例の件については考えて貰えたかな・・?」


カップを置きながら何気なく問うと、何故かセルゲイは一瞬黙り込み
それには答えぬまま、逆にこちらに問いかけてきた。
この時の沈黙を不自然に思いながらも、次に発せられた言葉に一旦思考が止まり流されてしまった。

「!!い、いえ・・・その・・・・・・」



・・・まただ。
部屋の気温が急激に上がった気がする。熱い。
最近はこんな状態が良く発生するのだ。
・・・・・・・・・いや、違う。『最近』じゃない。厳密にいうと4年前から時々だ。
そして、部屋の気温が上がった訳じゃなく、自身の体温が上がってるのだとソーマは気付いていた。
顔に熱が集まるのを感じながらも、セルゲイの顔をはっきり見ることが出来ず
カップに視線を落としながら、曖昧な単語が口をつく。





先日、セルゲイの口から信じられない言葉を聞いた。




「これは提案なのだが・・私の、家族の一員になる気はないか・・?」





最初に聞いた時、意味がよく分からなかった。
『・・・・カゾクノイチイン・・・?家族・・・大佐の・・???』
脳の中で単語を整理して推測すると、次第に事の重大さが分かってきて混乱した。

「そ・・それ・・は・・・?」
「ああ、混乱させたか?だが、前々から考えてはいた。君は天涯孤独だし、後ろ盾となる後見人も居ない。」
「わ、私は国の為平和の為の兵器ですから、そういった存在は無くて当たりま・・」
「”当たり前”だと誰が決めた?それと、自分を”兵器”だと言うのもやめなさい。」

最後まで言わせず強い口調で断じたかと思えば、次の瞬間には視線も口調も穏やかなものに戻っていた。
「・・これは、私の”提案”に過ぎない。決めるのは君だ。今すぐ結論を出す必要もない。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「よく考えて、答えを出してくれたらいい。」
「・・・・・は、い・・。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
『YES』か『NO』か。答えは二択のはずだ。
以前のソーマなら瞬時に判断して、ハッキリと答えを告げているだろう。
なのに、この件に関してソーマはそれが出来ないでいた。


『NO』と言うべきだ。簡単なことだ。
<これ以上大佐に迷惑をお掛けしてはいけないから>
<兵器である自分には恐れ多いことだから>
<身分が・・違いすぎるから>
・・・・・・ほら、理由ならこんなにたくさん。
しかし、ソーマはこの答えを口に出来ずにいた。
何故か、”NO”と言い切ってしまうことに、とてつもなく抵抗を感じてしまっているのだ。


ならば、『YES』といって受け入れれば良い。
・・・・・・・・・・・・だが。
<本当にそんなこと許されるのだろうか?>
<今は良くてもいつか後悔されるかも>
<自分と居る事で何かメリットがあるだろうか・・?>
<そもそも何故こんなことを自分に言い出したのだろう・・・?>
答えの出ない考えが浮かんでは消え、やはり心が定まらない。


ぐるぐると思考を堂々巡りさせていることが読めたのか、セルゲイは軽く溜息交じりの苦笑を漏らし
「・・・・なに、急ぎはしない。ゆっくり考えるといい。」
そう言って、穏やかな顔でカップを口に傾けている。

ぐずぐずと決断出来ない自分のせいで、彼を待たせている罪悪感と、
返事をしてしまったら、何かが変わってしまうような不安感とが心の中に不意に押し寄せ
押し黙っていたら、セルゲイがゆっくりと立ち上がった。
カップの中身は飲み終わっていたので、つられて立ち上がり彼を見上げると
幾分優しい顔でこちらを見ていた。


「・・・・・・明日は早い。そろそろ休んだ方がいいだろう。」
「あ、はい!大佐。」


此処は仕事場ではないのに、いつもの癖でつい階級呼びをしてしまった。
それを聞いたセルゲイは、『やれやれ仕方ないな』と言いたげな溜息を一つ吐き、
苦笑を浮かべたまま、ソーマの頭に手のひらを置くとぽんぽんと軽く叩いた後

「・・・お休み、”ソーマ”。良い夢を。」

そう言って後頭部を撫でるように手を滑らせてソーマから離れ、部屋を出て行こうとする。
その時無意識に動いたソーマの手はセルゲイの袖を軽く引っ張り、その歩みを止めさせた。

「?」
「おやすみ、なさい・・」

この時のセルゲイの顔は、外では決して見ることが出来ない特別な表情だった。








パタン、と小さな音を立てて閉じる扉を見つめてると、不思議な感覚が沸き起こっていた。
この身体に『こころ』は無いはずなのに。
『感情』は封じられてるはずなのに。
セルゲイと過ごすこんな日常を、とても。
・・・・とても『嬉しい』と感じる気がするのだ。
さっきのようにセルゲイが頭を撫でてくれると、何だか身体がほんわりと暖かくなって
とても気分がいい。

どうしてなのだろう・・・・?

でも、そんな理由は今はいい。
早く、早く休まなければ・・・!明日に差し支えては大変だ。
胸の中に光を抱いているかのような暖かいものに包まれた今なら。
きっと目覚めた時の身体と脳の回復値は通常の1.5倍・・・いや、それ以上だろう!
無意識に口元を緩めたまま、てきぱきとテーブルの上を片付けて部屋に戻る。
ふかふかのベッドに潜り、電気を消すと早々に眠りの気配が訪れた。


「おやすみなさい・・・たいさ・・・」



そう呟いてソーマは胸の中の光を抱き締めたまま、眠りに落ちていった。








・・・・すみませんvv
あの数分間で、『養女(娘)にならないか』って言ったんじゃぁ・・・!??!と
妄想が渦巻き、自重出来ませんでした・・・。
4年の間にすっかり乙女になってるソーマが可愛くて!!
ホント、「例の件」って何スか大佐!!!
もう、いっそお前等くっついちまえYO!(愛ある暴言)